カナダのサケに海シラミ

 今年は、カナダ沿岸のサケがいろいろと大変なようです。

リンク: BC州沿岸のサケに赤信号.

 こちらの記事は、ブリテッシュコロンビア州沿岸のカラフトマスが養殖魚から発生した海シラミにより絶滅の危機に瀕しているというニュースです。このニュース、2000年ごろから話題だったようで、こちらなどでも若干触れられています。
 私は海シラミがどのようなものかわかりませんが、ぐぐってみたら、こんなサイトで、シードラゴンが海シラミを食べる様子、などと出てきますから、海では広くその姿が見られる生き物のようですね。
 しかし、この問題は単に養殖によって種の密度が増したためこういうことになった、ということでいいのですかね。それとももう少し違う角度から見た方がよいのかな。この辺の関係って、いろいろと検討されているとは思うのですが、何か養殖が悪という図式で説明しがちないようが気がするのですが、どうなんですかね。

2005 10 02 04:43 PM | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

カナダのサーモン事情

 こちらのブログ主のんさんはカナダで生活をされたことがあるとのことで、思い出としてサケの話をエントリーされています。

リンク: DOLCE VITA | カナダのサーモン事情.

 興味が引かれたのは、カナダでは思ったよりもサケは食べない、というところです。

 えっ、とも思ったのですが、よく考えるとそうでもないかな。
 確かに日本でも塩鮭は朝食用(実は我が家では夕食のメインになることもあるのですが…)として流通していますから、多くの人が週に1回は食べるという感じでしょうが、サケを実際に獲る、東北でみていると案外そういうものかな、という気がします。もちろんカナダと東北地方では遡上量が違いますから(たぶん100倍単位だと思います)、違う面もあるとは思いますが、日本でサケ漁をする地域ではサケは非常に高価なものであり、特別な行事のときしか食べない、という話が多く聞かれます。

 記事中あるように、スモークサーモンがおみやげ用として多量に売られているとあるように、サケはあくまでも換金するための魚であり、消費するための魚ではないということなのかもしれません。

 特に現在の川ザケは経済性が低いですから、かつては食べていたのかもしれませんが、現在ではあまり食べなくなっているという面もあるような気がします。これだけ様々な食材があふれる、特に先進諸国においては、自分たちの資源と消費の関係は単純に結びつけてはいけない、ということのような気がします。
 ちょっとまとまりがないですね。このネタ、後日改めてエントリーしたいとおもいます。

2005 04 27 12:54 PM | 固定リンク | コメント (60) | トラックバック

朝鮮半島のサケ

 韓国のサケ博士に関する記事です。

「回帰、犠牲…サケから人生を学んだ」 サケ博士の成基百さん

 その昔よんだ本で、サケは中国にはいない(厳密には黒竜江にはいるのですが)とあったので、てっきり朝鮮半島にもサケはいないものと思いこんでいました。でもよく考えれば、日本海の対岸ですから、当然いてもおかしくないのですよね。
 で、この記事で紹介されている成基百さん、国立の水産研究所の職員で、サケの孵化放流の先頭に立っておられたかただそうです。
 記事を見た範囲では、朝鮮半島のサケは非常に貴重なようで、イメージとしては九州でサケをみて保護を考えた、という感じでしょうか。日本のように資源確保の孵化放流というよりも、種の保存のための放流という側面が強いようです。

 とはいえ、朝鮮半島におけるサケって、どんな位置づけになるのでしょうか。
 この度サケに関する本を出されたと言うことですが、是非一度拝見してみたいものです。
 韓国語の本って、アマゾンでも入手できるのかな?
 そもそもハングルってわからないし^^;

2005 01 17 04:44 AM | 固定リンク | コメント (85) | トラックバック

英国の養殖サケ

 養殖サケを巡る話で、こんなものがありました。

養殖サーモンを宣伝しながら自分のレストランでは使用せず…ジェイミー・オリヴァーに非難集中

 イギリスの話なので、大西洋サケの養殖にかんするものですが、有名なグルメ番組の司会者?が養殖サケの宣伝をしながら、自分のレストランでは天然サケしか扱わないということが非難されているとのこと。

 イギリスでは、大量の養殖は自然環境に悪影響を与えるということが指摘されているようです。もっぱら湖などで養殖が行われているようですが、余ったエサや死骸などが湖底に溜まり悪影響をもたらしているとのこと。
 一方で、養殖業者側の意見は、きれいな水で育ち、品質は非常によいとのこと。

 で、非難されている当人は、”お店では扱っていないけど、養殖サケも品質はいいよ”だそうです。
 うーん、養殖事情には疎いのですが、以前あったフグ養殖などとも近い話と理解すればいいのかな。こういった環境問題と生業とのかかわりはヨーロッパの方が発達しているようなので、なんともいえないのですが、日本ではどうなんですかね。

 とはいえ、記事ではよく読み取れないのですが、そもそも自分のレストランで使わないのはこういう問題に配慮していますよ、というアピールがメインなのか、単に養殖のサケはおいしくないので使わないということなのか、それも気になります。まぁ、後者なんでしょうが、であれば、環境保護の人のコメントではなく、純粋に味に関するコメントがあったほうがよいような気もするのですが。こういうところで環境との関わりを指摘されると、かえって議論がぼやけてしまうような気がします。

2005 01 06 10:56 AM | 固定リンク | コメント (75) | トラックバック

サッチェプづくり

 先般、本州の塩蔵サケの話を書きましたが、こちらではアイヌの塩蔵薫製サケの製作が始まったというニュースです。

サケの薫製:伝統技法で「サッチェプ」づくり 北海道

 アイヌの保存法は塩蔵した後、塩抜きをしてから乾燥させ、さらに2ヶ月間(!)燻煙するということ。単純に計算しても5ヶ月、春頃から食べるということなんですね。
 で、以前こちらのサッチェプについては記事を書いていました。こちらです。春以降販売されるそうですので、興味のあるかたはどうぞ。

2004 12 21 09:25 AM | 固定リンク | コメント (71) | トラックバック

アイヌ料理の教室

こちらのブログにて、アイヌ料理教室の体験記が掲載されています。

写メ日記

 チタタップというサケの頭の叩き料理や、メフン(血合い料理)、イクラとジャガイモの料理などが紹介されています。
 特にチタタップは一時間ほど叩き続けるということで、かなり手間のかかる料理のようですが、おいしそうです。
 アイヌの料理についてはこちらでも紹介していますね。努力をされているという面もあるのでしょうが、伝統食が見直されてきているという面もあるのですかね。

2004 11 28 03:18 PM | 固定リンク | コメント (59) | トラックバック

サケのエレベーター

 hiraidenaoyaさんのブログ”フランス落書き帳”にてこんな記事がありました。

フランス落書き帳:鮭専用エレベーター・・・

 ダムで遡上ができないサケのために、エレベーターを設置して遡上を助ける試みだそうです。
 記事中、フランスサケ協会のサイトなどへのリンクもあるのですが、当然の如くちんぷんかんぷん。ただ写真を見ると深さ30cmほどの箱にサケが入って持ち上げられています。満載しても4,50匹分でしょうか。まぁ、数が減ってきたので設置したものですからよいのですが。それにしても、このアイディア、日本でも応用できるたぐいの話なんでしょうか?以前堰堤の設置でサクラマスの遡上が、という記事を書きましたが、そうしたときに有効なのかな?

 ところで、これで孵化した稚魚はどうなるのでしょうか??
 そのままダムの放水にのって海へ?それともダム湖で陸封型へ?

 もしかしたら記事には書いてあるのかもしれませんが、稚魚が海に行かないとあまり意味はないような気がするのですが…。
 なにはともあれ紹介まで。

2004 10 20 08:55 AM | 固定リンク | コメント (87) | トラックバック

北方領土の密漁

 国内の密漁についてはこれまでも書いてきましたが、北方領土をはじめロシアではさらに大規模な密漁が行われているようです。

イクラとウニと、北方領土

 この記事によれば、ロシアの河原には腹が裂かれたサケが大量に廃棄されているとのこと。一番経済価値が高いイクラのみを狙った密漁だそうです。記事の視点は日本に向けられ、大きな問題として密漁品を黙認しながらも流通させる日本側の対応をなんとかしたほうがよいというものです。
 北方領土ではサケ資源の減少が実際に起こりつつあるようですし、やはり考えなくてはならない問題なのだと思います。

2004 10 09 09:23 AM | 固定リンク | コメント (71) | トラックバック

オンタリオのサケ事情【情報募集】

 拙サイトをご覧いただいた ももせまき様よりメールをいただきました。
ももせさまより頂いたイクラの写真です


私はカナダのオンタリオに住んでいて、家の前の川でサーモンを釣っているのですが、もちろん皆卵は食べません。
もったいないので食べてみようかな~っとバトミントンラケットで卵をほぐして、いくらの醤油漬けを作ったのですが、皆に「本当に食べるの?」と言われています。

そこで質問なのですが、カナダの川の鮭の卵でも食べられますよね?
卵に寄生虫ってつくのかな?って思い、一応、心配なのでディープフリーザーで冷凍しています。
種類は何かわからないのですが、オンタリオ州のヒューロン湖からノタワ川にやってくる鮭です。


というご質問です。

 で私のわかる範囲で調べたところ、カナダ東部に位置するオンタリオ州の場合、大西洋サケの可能性が高いであろう、その場合、見た目は黄色みを帯びるため、商品価値は低いようだが、食べられないことはない、また寄生虫についは情報を持っていないが、イクラの寄生虫の話を聞いたことはない旨お返事をさせて頂きました。
 その後、改めて返事をいただきました。


私も釣りをしている人に聞いたところ、どうやら、この川に来る鮭はキングサーモンらしいです。
身のほうは日本の紅鮭よりも淡白な感じです。
近くの湖で育つので、淡水魚らしく、ちょっと泥臭いかんじです。
でも、やはり新鮮なので身はプリプリしています。
タイムとローズマリーをはさんでバターでパンフライすると臭みも取れてジューシーでおいしいです。
特に取れたては。
近所の日本人の方は酢でしめた、しめ鮭?がおいしかったと言っていました。

卵はかなり生臭いです。
主人は「日本の魚もこれくらい生臭かったよ。」と言っていますので、肉食になったせいかもしれないです。
サイトなどで塩水で洗うと臭みが抜ける。とあったので、写真は袋に入れたほうは塩水にさらして冷凍したものです。
醤油付けにした方もかなりなまぐさかったのですが、今は日数が経って食べられるほどおいしくなりましたが、日本のものよりも油多く、やはり少~し泥臭いです。
皮が固くプチプチしています。
-20度以下で72時間以上冷凍したので、今晩、勇気を出して、いくら丼に挑戦しようかと思っています。


 川のサケのイクラは自分の経験でもどうしても生臭くなるので、この場合はしょうがないのかな、と思いますが、はたしてキングサーモンなのでしょうか。
 地理に疎く水系がわからないのですが、あまりキングサーモンが上る場所ではないような気もしますし。日本のサケよりも淡泊とこことですが、遡上を始めたキングサーモンならそういうこともあるのかな、とも思います。
 もしかしたら湖で成長する陸封型のサケかな、という気がしています。また、イクラの方についても、もう”勇気を出して”お食べになった後なのですが、天然の大西洋サケ属のイクラというのはどんなものなんでしょうか。

 自分も海外の事情に疎いものですから、このサイトをご覧の方で、この件についての情報をお持ちのかたおいででしたら、コメントをいただけると幸いです。

 しかしながら、取れたてのサケの料理の方は本当においしそうですね。

2004 10 03 04:29 PM | 固定リンク | コメント (80) | トラックバック

International Salmon Festivalの新聞記事

 以前紹介した国際サケ祭り(直訳)の新聞記事が”SakhalinIndependent(サハリン独立新聞って訳せばいいのかな)”にありました。
International Salmon Festival in Sakhalin
 WildSalmonCenterが中心となって、サハリンの主として環境学者を対象としたワークショップと子どもたち向けのサケ講座からなるイベントだったようです。

 一応、紹介した手前、簡単ながら報告まで。あ、当然ながら行っていません。

2004 09 15 03:54 PM | 固定リンク | コメント (71) | トラックバック

アイヌの豊漁儀礼

 *astroblogによると、アイヌの豊漁祈願儀礼が千歳市でひらかれたそうです。

*astroblog: アイヌ伝統儀式「アシリチェップノミ」/サケに感謝

 もとネタはasahi.comのこちらです。
以前、初鮭儀礼について触れたことがありますが、この儀礼もサケを獲ってそのシーズンの豊漁を祈願するという点で、初鮭儀礼の系列にはいる儀礼のようです。
 観光目的なのでしょうか、開催された経緯はわかりませんが、こうした儀礼を開催し、みることができるのはなかなか貴重な機会だと思います。
 あと、私的には写真に掲載されているマレック(回転銛)を使った漁の実演を是非見たかったです。

2004 09 07 08:58 AM | 固定リンク | コメント (85) | トラックバック

Sakhalin Salmon Festival

イベント情報第2弾?です。
 このサイトは一度なにかで紹介したいと考えていました。

Wild Salmon Center > Home

 Wild Salmon Centerは主に野生のサケの保護運動を行っている団体で、主としてカムチャッカ半島で米露が中心となって活動しています。まぁ、英語が苦手な私にはそれ以上の情報は難しいのですが。
 ただ、日本では自然状態のサケの遡上というものがまずありえないこともあり、こうしたサケにまつわる活動は以前紹介したイトウなどに限られるか、環境学習などとセットになった、言葉が悪いですが管理された活動にならざるを得ないという面があります。その中で、サケの遡上環境の悪化、遡上数の減少については世界的(というか北太平洋地域)でも大きな問題になっているようで、資源の多くを自然産卵にたよる日本以外の国々にとっては、資源・産業保全という面からも重要な問題のようです。そうした面からも、このサイトの動きについては四苦八苦しながらもなるべく追いかけていきたいと思っています。

 で、標題ですが、このサイトのevent欄に”サハリンサケ祭り(直訳)”の案内がありました。9月4日から6日までユージノサハリンスクにて開催だそうです。どんなfestivalかさっぱりわかりませんが、お近くの方、よろしければどうぞ。
 あ、ついでにその様子を教えていただけると幸いです_(._.)_

 って、だれにお願いしているのだ>自分へのつっこみ

2004 08 20 03:04 PM | 固定リンク | コメント (92) | トラックバック

スティ-ブストン物語

 バンクーバーのサケ事情についてはバンクーバーのサケ事情として、既に一部、紹介させていただいていますが、今回紹介するのは、河口部の漁港、スティーブストンの日本人移民をめぐるエッセイです。

スティ-ブストン物語

 文中、一章ぶんが「不思議な魚 サケ」として、フレーザー川河口部のサケ漁、特に日本人移民が開発していった加工をめぐる話がまとめられています。長文で、読み応えがありますが、非常に興味深い情報がいくつもあります。
 ちょっと抜粋して紹介しますと


宮城県からも及川甚三郎が率いる一団、82名が密航を企て、船をチャーターして50日かけて太平洋を渡り、入国に成功しています。
 甚三郎は、宮城県で最初という製糸工場を作った男でしたが、進取の気性に富み、たまたまカナダから帰ってきた近在の男から、スティーブストンのサケ漁の話を聞いて、1896年に単身でスティーブストンに行き、3年間漁師として苦労した結果、家族を呼び寄せて、次第に事業を拡大していきます。
 フレーザー河に浮かぶ「ドン島」を買い取り、そこに魚の加工工場を建てたりして、その島はやがて「及川島」と呼ばれるようになりました。しかしこの成功に留まらないのが甚三郎の並外れたところでした。

 このスティーブストンの町の日本人入植に際し、宮城県の人も大きく関わっていることを知りました。この及川島、是非足を運んでみたいものです。
 また、サケについても、

 フレーザー河のサケは5種類ですが、最も珍重されるものは「サッカイ」(sockeye)で、ベニザケと呼ばれています。「チャム」(chum)は白人の漁師からは「ドッグ・サーモン」と言われて、犬しか食わぬものとして評価されなかったのですが、日本の漁師が半干しで塩蔵したものを日本人相手に売り出してからは、人気が出てきました。「ピンク」(pink)も、色が薄くて身が軟らかいので缶詰には不向きとされていましたが、サッカイが不漁の年などから次第に缶詰用に使われています。

とあって、敬遠されてきたシロザケが日本風の加工で人気が出てきた、というところ、

 日本人が好むサケの卵巣(イクラや筋子になります)は、当時はすべて捨てられていました。日本人はこれを回収し、塩蔵にして日本に送り、大いにもうけたそうです。卵巣が立派な商品になったのは、日本人の業績のひとつです。

イクラ製造の開始で日本人が頭角を現してきたというところ、などが、情報としてはおもしろかったところです。このほか、漁法についてや、サケの生態等々、もちろんそれが主題ではないのですが、非常に多くの情報が掲載されています。
 水産物が世界に広がる中で、各地の食文化によりトロは捨てられるとか、イクラは食べないとか、と魚の部位毎の経済的な価値が大きく異なります。スティーブストンで日本人移民があるていど成功した背景は、こうした加工品等が世界市場とかかわりあう過程があることを知ることができます。
 こういう漁港ってアメリカからカナダに掛けてけっっこうあるのでしょうか。サケと日本人、というのは私の興味の中心ですが、どうも現在のサケの文化を考える上では、日本に限定した見方だけではだめそうですね。漁獲量・流通量をみても日本は非常に多いのでしょうが、単に国内市場の開発だけではなく、生産市場?の開発への関わりについても考えてみたくなりました。
 是非、ご一読を。

2004 07 28 04:48 PM | 固定リンク | コメント (83) | トラックバック

Salmon Nation

さきほど紹介したyoさんのブログに紹介されていた、アメリカのサケに関するエコトラスト団体のサイトです。
Welcome to Salmon Nation

BK175_000.jpg

 英語に弱い私には、ちょっとしか内容はわかりませんが、どうも、昔のようにサケのたくさん上る自然環境を保全しよう、という団体のようです。で、もうすこし単語レベルで検索したら、
パタゴニア:パシフィックサーモンの自然史
こんなページがありました。パタゴニアというアウトドアブランドが協賛しており、グッズの販売も行っているようで、日本語で活動の紹介がされていました。

で、自分の感想ですが。
"SalmonnNation"VisaCardはちょっとほしくなりました。おい!

2004 06 07 11:57 AM | 固定リンク | コメント (79) | トラックバック

神になった魚―カムイチェプ

サケに関わる信仰の概略をまとめたページです。
神になった魚―カムイチェプ
主要部分を引用すると、


アイヌ語でサケをシペ(Sipe)ともいう。真の魚、という意味だ。主食という意味もある。本当に大切な魚だったことが、これらの呼び名からもわかる。
 アイヌ民族にとって身の回りのものは全てカムイの国からやってくる。サケもまた、神の国からやってきたのである。自らもアイヌ民族のひとりであり、北海道大学教授であったアイヌ研究者・知里真志保は、論文「神謡について」のなかでこう語っている。
「アイヌにおいては、獣鳥虫魚介草木日月星辰みな神である(―というよりも、神々が我々人間の目にふれるときに限り、かりにあのような姿をとって現れる、という考え方である)」
 獣鳥虫魚介草木日月星辰みな神である、という表現がすごい。
 サケは神の国からやってきて、人間の国で食べものになり、また神の国へ帰っていく。
 このような精神文化は、北方圏に共通しているもので、たとえばカナダ先住民にも「サケの国」の伝説がある。
 日本でもサケが神になった地域は多い。

ということです。海から大量に訪れるということは、海の先にサケが集まる神の国がある、という発想がアイヌをはじめ、北方諸民族の中にみられる、ということです。このページではあまり触れられていませんが、サケにまつわる信仰には次のような特徴があるような気がします。
  サケは神の国から訪れる特別な魚である。
  人々は神の恩恵によって、タンパク源としてサケがたくさん食べられる。
  サケは神の国からまとまって人界を訪れる。
  それに先立ち前触れのサケが遣わされる。
なので、サケに関わる信仰には、初鮭、つまり最初に捕れるサケに対する信仰が広くみられる。ということです。こうした儀礼を初鮭儀礼と呼びます。日本では最初のサケを取ると、神棚やエビス様などに供え、その身を漁師仲間や家族などで分け合って食べる、といったかたちの儀礼・行事として新潟県から山形県にかけて濃密にみることができます。
 漁期の後の豊漁感謝の儀礼や、出漁前の豊漁祈願の儀礼はサケに限らず多くの魚などにありますが、漁を開始してから行う儀礼はあまり聞いたことがありません。サケという魚を巡る信仰の特徴だと思っています。
 ただ、初鮭儀礼は全ての北方民族が持っているわけではなく、北西海岸インディアンと呼ばれるアメリカ大陸沿岸と日本列島程度です。サケが非常に多く上るカムチャッカ半島などでは、終漁儀礼はあるのですが初鮭儀礼はない、と報告されており、こうしたサケの文化的な位置づけは必ずしも普遍的なものではないようです。私の中では生息範囲の縁辺地域であるため豊凶の差がでやすいが故に、初鮭儀礼が行われるようになったのではないかと思っています。まあ、この点はまだまだ課題が多い、仮説の3歩手前みたいな話なので、ちょっとしたアイディアとしてお読み下さい。

2004 06 01 03:53 PM | 固定リンク | コメント (84) | トラックバック